お得に不動産を購入するコツ

この記事は約8分で読めます。

人生で最も大きい出費といえば「家」。同じ住宅であっても、購入時の選択によって数百万円値ぶれする事があるなら、可能であれば安く済ませたいものです。本記事では、消費者が住宅購入費用を安く済ませる工夫をご紹介します。

購入前に値引き交渉しよう

実は建売住宅であっても、土地であっても値引き交渉は可能です宅建士の資格があり不動産業を営んでいる知人に話を聞いたのですが、どの建売住宅であっても、新築販売当初は500万円以上の利益を上乗せしているのは当たり前(1,000万円以上の利益を積んでいる物件もあるそうです)で、100~200万円程度値引きされても痛くない状態になっているとの事でした。当然、売主さんとしては高く売りたいのが当たり前なので、住宅完成後3か月以内であったり、当該物件への問い合わせが多いと値引き交渉は難しくなりますが、新築物件が売れ残ってしまうと広告宣伝費や住宅維持費用等がかかってしまうため、タイミングが良い(住宅完成後3か月以上経過、ハウスメーカーの決算前)と値引き交渉に応じてくれます。

多くの人は住宅ローン、つまり借金をしてまで購入するわけですから、多少の値切り交渉はあって然りと筆者は考えています。値引き交渉は悪ではないので、積極的に利用していきましょう。

値引き交渉の方法は”売り主と直接交渉する”方法と”不動産購入申込書に値引き後の金額を記載して提出する”方法の2パターンがあります。建売物件を購入する場合は前者、土地を購入する場合は後者を仲介業者を通して行うのがやりやすいです。

なお、値引き交渉時は「物件を購入する強い意志がある事」が前提です。値引き交渉が通らなかった時は、値引きが利かなかった事を理由にパスすることが出来ますが、値引き交渉が成立したときは購入を確約しなければ大きく信用を損ねる事になりかねませんので、気をつけましょう。また、値引き交渉を前提とした不動産購入申込書を先に提出しても、満額回答をするお客様が後に現れた場合、満額回答のお客様が優先される点も留意しておきましょう。

仲介手数料無料の不動産や売り主に購入手続きを依頼しよう

通常、物件購入時に不動産業者のサポートを受けた場合、仲介手数料として「売買価格×3% + 6万円 +消費税」がかかります。この計算式に当てはめると、購入物件が4,000万円の場合、仲介手数料として138.6万円がかかる事になります。

物件購入時のお手続きを売り主や仲介手数料無料の不動産業者に依頼すると、上記の仲介手数料をかけずに物件購入が可能となります。それぞれのメリット・デメリットは下記の通りです。

住宅購入手続き依頼先メリットデメリット
売り主(ハウスメーカー等)・物件情報(特に性能面)に精通していて、詳細な回答を得られる。・物件内覧時に自宅の送迎対応までしてくれない場合がある。
・他の売り主の物件にはアクセスできない事が多い。
仲介手数料無料の不動産業者・仲介手数料無料
・様々な売り主の物件を確認できる
・内覧不可の場合がある。
・小規模な不動産のだと、対応までに時間がかかる場合がある。
・各ハウスメーカーの物件性能には精通していない。
仲介手数料有料の不動産業者・自宅送迎等、丁寧な接客対応がある。
・不動産によっては、「ファイナンシャルプランナーによる無料相談」等、特典が付いてくる場合がある。
仲介手数料が高額

上記のように、仲介手数料有料の不動産にもメリットはありますが、仲介手数料無料のために自分で努力して動ける人は、売り主や仲介手数料無料の不動産がよいでしょう。ただし、物件によっては特定の法人の専売になっていて、他の不動産が紹介できない事例もありますので気をつけましょう。

売り主に購入手続きを依頼する場合

各ハウスメーカーのホームページにアクセスし、そこから物件のお問い合わせをしましょう。参考までに、建売メーカーで著名な飯田グループの新築一戸建て紹介サイトは下記の通りです。

なお、各ハウスメーカーの公式HPではない物件検索サイト(SUUMO、アットホーム等)から問い合わせると、仲介手数料有料の不動産業者に繋がります。他社で物件を見てしまうと売り主対応は出来なくなるので気をつけましょう。

仲介手数料無料の不動産に購入手続きを依頼する場合

まずは、仲介手数料無料の不動産を探しましょう。私の場合、SUUMO上の物件に問い合わせて繋がった不動産の中から、仲介手数料無料の不動産を発掘したり、売り主から仲介手数料無料の不動産を紹介してもらったりしていました。一度、仲介手数料無料の不動産と繋がったら、物件検索サイトで見つけた購入候補の物件を担当者に連絡先に送信して、内覧や購入お手続きを進めてもらうようにしましょう。

なお、広告で仲介手数料無料を謳っている不動産の中には、契約業務のみサポートし、物件内覧対応はしない不動産も存在しますので気をつけましょう。

長期優良住宅や住宅維持費用を低減できる部材を使用した住宅を購入しよう

国の長期優良住宅認定を受けた住宅を購入した場合、国からの補助金で初期の費用負担を抑えられるほか、様々な税制優遇(固定資産税減額措置期間や住宅ローン減税期間の延長等)が受けられるため、耐震性や断熱性が高い住宅をお得に購入できます。ただし、長期優良住宅認定を取得すると、定期的な点検と問題が見つかった場合の補修工事(有償)が義務となります。

補修工事については、防蟻処理、壁や屋根の修繕(足場代含む)、ベランダのFRP防水加工などがあり、スレート材を使用したよくある建売住宅の場合、月1.5万円(10年間で180万円程度)のメンテナンス費用を見込む必要があります。

一方で、屋根に瓦やガルバリウム鋼板を使用していたり、外壁をタイル貼りにすると、上記のメンテナンス費用を低減できます。良い部材を使う分、初期建築費用は上がりますが、長期優良認定と組み合わせる事で、住宅性能を鑑みた時に、初期費用+メンテナンス費用でお得となる可能性がありますので、よく検討するようにしましょう。

また、太陽光発電システム付きの物件であれば、月々の光熱費の負担を抑える事ができます。近年話題の電気自動車やV2H(車の蓄電池に蓄えた電気を住宅に供給する仕組み)と組み合わせると、地球環境に優しいだけでなく、光熱費や燃料費の節約効果も更に高まるので、電気自動車に興味のある方はご検討ください。

頭金や繰り上げ返済により金利の負担を減らそう

住宅購入費用の4つ目の負担軽減策が頭金や繰り上げ返済による金利負担の低減です。当たり前の話ですが、借入金額が少なければ、金利で上乗せされる金額も少なくなるため、最初に頭金を多く入れて、借入金額を抑えた方が支払い総額は減ってお得です。また、初期の支払額は大きくなってしまいますが、元利均等返済よりも元金均等返済の方が利息の支払いが少なくなるためお勧めです。ただし、頭金を最初から沢山用意できない方も多いと思います。その場合、国の住宅ローン減税期間終了後に繰り上げ返済を実施する方法がお勧めです。住宅ローン減税では、住宅ローンの残額に応じて、所得税の控除を受けられる仕組みとなっており、最大で455万円(子育て・若者夫婦世帯で最大借入限度額の場合)のキャッシュバックを得られます。減税期間は長期優良認定住宅の場合13年間、それ以外は10年間となっていますが、この期間を過ぎると利息の支払いだけが発生する状態となるため、繰り上げ返済(期間短縮型)を利用して利息の支払いを減らすのが効果的です。

住宅ローンの返済額や住宅ローン減税額、ならびに繰り上げ返済時のシミュレーションは下記のサイトで実施できるので、条件を変えながら住宅ローンの支払いプランをご検討ください。

なお余談ですが、筆者の世帯・年収で4,000万円の長期優良認定住宅を購入し、(あり得ないですが)変動金利で0.75%の状態がずっと続くと仮定した場合、住宅ローン控除を勘定すると、「最初に頭金1,000万円を入れ、3,000万円を借りる」よりも、「最初に4,000万円を借りて、住宅ローン控除終了(13年)後に1,000万円を繰り上げ返済」した方がお得という結果が出ました。

量的緩和政策を脱した現在の日本では、今後政策金利は上がっていくとの見通しのため、金利が上がっていくシナリオでは金利が低い今のうちに多く返済した方がお得なパターンが多いと筆者は考えていますが、現在の貯蓄額等の条件によって最適な返済プランは変わってくると思いますので、よくご検討いただければ幸いです。

まとめ

本記事では、不動産をお得に購入するコツについてご紹介しました。

購入前の値引き交渉を活用: 新築販売後3か月以上経過した物件やハウスメーカー決算前が交渉の好タイミング。

仲介手数料無料の選択肢: 自分で行動できる場合、売り主や仲介手数料無料の業者を利用すると費用を節約可能。

長期優良住宅の検討: メンテナンス費用軽減や補助金、税制優遇を活かし、住宅性能を最大限活かす設計を考えよう。

頭金と繰り上げ返済で金利負担軽減:頭金により借入金額を抑えたり、住宅ローン減税期間終了後に繰り上げ返済することで利息を減らす方法が効果的。

タイトルとURLをコピーしました